俺はタクシー運転手

私は若い頃から 将来やりたい仕事、そして手に職もなかった。
そんな私が35歳の時に巡り合ったのが「タクシー運転手」という職業であった。
この職業は 憧れて新卒で就職するケースは 殆どなく、殺人経済から逃れるために来る者、事業に失敗して来る者等、人生の逃げ道の受け皿としての役割を担っているとも言えなくもない。
しかし、今のタクシー業界は 数年前、規制緩和され厳しい世界になっている。「規制緩和」というと聞きは良いが 簡単に言えば、競争させること。つまり殺人経済に放り出すことを意味する。
規制緩和によって タクシーの台数は過剰に増え、料金競争も激化し、首を絞めあう日々である。
また、この仕事は酔っ払いを相手にし、個室という特殊な環境であり、トラブルも多いのも特徴である。そして孤独である。
このコンテンツでは そんなタクシーについて触れたいと思う。



タクシー運転手になるには

普通自動車免許を取得してから3年が経つと タクシーの免許である「二種免許」の受験資格が得られる。
最近は教習所でも取得が出来るようになった。
タクシー会社の求人広告で よく「二種免許 教習費用 全額会社負担」と書かれているが、実際は それなりの労働条件が発生してしまい、実費で免許を取得した方が安上がりといえる。

東京と大阪意外では この二種免許さえ あれば即タクシーの運転手になれるのだが、東京では 東京タクシーセンターで 三日間の講習を受け、最後に「地理試験」を受け、合格しなくてはいけない。

この地理試験に合格すれば乗務証が発行され、 後は就職した タクシー会社で一週間程の新人講習を受ければタクシー運転手になれる。

どのタクシー会社を選ぶか?

タクシー会社は 何処も同じと思っていたら とんでもない間違えである。自分に合った会社に就職しよう。
どの会社が良いのか 一概にはいえないが 簡単に触れたいと思う。

タクシー会社 コメント 長所 短所
大手四社 「大日本帝国」と言われている。大和・日本・帝都・国際の大手四社のことをいい、黄色に赤いラインが入ったお馴染みのタクシーである。四社共歴史があり、信頼度は高い。 タクシー乗務員としての教育は徹底されていて高度な研修が受けられる。
クルマもハイグレードである。
チケット契約の固定客が多く、遠くまで行くロング客も圧倒的に多い。
規則、決まりが とにかく多く、毎日社訓の唱和を強要されたり、事故や苦情についても非常に厳しい。
プライベートを重視する人には向かないといえよう。
東都 台数だけで言えば、2000台を超え、日本一の会社。黄土色の車体。
以前は悪名高き「志村交通」であったが、今はかなり まともな会社になっているといえよう。
台数が余っているので、どんなに営業収入が悪かろうが、少し位の事故を起こそうが さほど うるさくない。
無線は細かいが そこそこあり、マイペースな人には良い。
競争が嫌いな社風で、新システムは いつでも一番最後に導入し、クルマのグレードも最低で、最後まで乗り潰すケチな会社。
東京無線 緑色のタクシーで一番台数が多い。しかし一社ではなく、子会社の集まりで無線だけ共有していて無線でも一番の売上げを誇る。 無線客の数では最多で無線営業に期待が出来る。 子会社の集まりなので、当たりハズレが大きい。
無線の無い会社 子会社で どの無線グループにも属さず、無線を使わない会社。 この様な子会社には無法な会社が多く、良くいえば法を無視し、融通が利く。 やはり、無線営業が無いのは寂しい。
個人タクシー 原則として法人タクシーで10年の経験があると個人タクシーになる受験資格が得られる。年齢が上がると受験資格のハードルが低くなる。 何といっても自由というのが最大のメリットであろう。儲けの良い日に乗務し、好きな日に自由に休め、自分のクルマなので改造も自由だ。 今まで事務方がしてくれていた事も自分が手配しなくてはならず、大きなリスクも背負うことになる。
縛られるモノが無いので自己管理が要求される。




タクシーグッツ

東京タクシーセンター発行の地図

タクシー乗務員用の地図で東京タクシーセンターが発行している。タクシー乗り場や乗禁地区等が記載されていて東京タクシーセンターに行けば一般の人も購入できる。
しかし見にくく番地が記載されていなかったり一方通行が逆になっている等ミスプリントが多く嘘つき地図である。
素早くページを開けるようにタグを着けそのタグが折れぬようクリアカバーを取り付けた。遠くや珍しい場所に行くと地図のその場所に印しと日付けを記入している。


つり銭箱

100円ショップで購入した弁当箱を使用。


ウエストポーチ

仕事中もウエストポーチを愛用しています。


サンダル

長時間運転するので革靴では疲れる。踵が固定できるサンダルは許可されている。


営業方法

駅着けタイプ
一番楽で頭も使わないで済む方法。客を降ろしたら ひたすら駅のタクシー乗り場に戻るという単純明快な営業方法。
小遣い稼ぎの年金爺さんに多い。しかしこれでは売り上げは限界がある。
私はこの典型的な駅着けタイプだった。明けても暮れても同じ駅に着ける運転手も多いが 駅は朝動く駅もあれば夜動く駅もあり時間帯によって使い分けたり 行った先の駅についでに着けたりするとかなり効率は上がる。

流しタイプ
タクシー営業の基本である。とにかく楽せず走りまくって覚える。研修所でもこの営業方法を指示される。
しかし ただ何も考えずに走っても客は捕まらない。常に場所と時間帯を観察しながら考えて流すこと。そのうちに自分のやり方が決まってくもの。

無線待ちタイプ
無線配車を狙う営業方法で ある程度の経験も必要である。
この営業方法をするには入社する際の会社選びがとても重要となる。無線客の殆ど無い会社も多いし会社によって地域もかわる。
無線営業は無線センターと素早く対応し 住所を調べ遅れることなくこなさなくてはならず、一度も経験しない運転手も多い。
大物も多いが無線ばかりを追っていると時間ばかりが過ぎ効率も悪い。
タクシー営業の花形的ではあるが 早い者勝ちなので競争も激しい。また無線を違法改造して自分に優先的に無線がくるようにするなどの行為も耳にする。

エリートタイプ
稼ぎの良い運転手は全てを効率良く使い分けている。時間、場所、曜日は勿論、季節や行事等。
新聞等にも目を通し コンサートや試合等が終わる時間帯も頭に入れる。
また一人の経験では限界があるので 仲間からの情報にも常にアンテナを張る。


営業記録

1乗務の最高売上   104810円

一回の最高料金     30060円(渋谷〜栃木県小山)  

因みに世界記録はギネスブックにも認定されていますが

距離        34908キロ
掛かった時間  6月3日〜10月17日
経路        イギリス ロンドン〜ケープタウン(アフリカ大陸最南端)
料金        723万7800円



私の平均的な営業

私の勤務する営業所は北区滝野川にあるので ここが出発点となる。午前9時頃出庫すると近くの駅である駒込、巣鴨方面に向かう。この辺は朝に限っては流しでも結構客は居る。無線配車もあるが殆どは身体の不自由な客が近くの病院に行くと考えて間違えない。

午前10時を過ぎると客は激減するので一気に東京の中心に入る。私の主な仕事場は霞ヶ関から渋谷の間である。つまり六本木通り、青山通りを走りまくる毎日である。
あまり流さず行った先でついでついでのポイントに着け待ち、無線もついでに拾う戦法である。
仕事中、常にラジオと無線を同時に聞いていているので 聖徳太子の5分の1をこなしていることになる。聞いているラジオはNHKとTBSが殆どである。

日が暮れ街の灯が瞬き始める頃、夜に備え給油に向かう。ガソリンではなくLPガス、しかも会社指定の給油所に行かなくてはならずその数も少ないので毎日給油には時間を費やしてしまう。一番行くのが杉並区方南町の給油所である。

それから池袋の母の住む実家に立ち寄り食事を済ませ池袋で暫く時間を潰す。週末の金曜なら午後10時には銀座で大物を狙うが平日は池袋でひたすらかつ地道にメダカ釣りを繰り返す。池袋は無線配車も多いが殆どはメダカばかりである。
印象的なのは北池袋駅。大昔のまま開発されずクルマの通る満足な道すら無い忘れられた僻地。その路地には社会から隔離さらたような小さな飲み屋が点在し夢破れた老人達が癒しを求めてさまよう存在感を全く感じさせない集落のようだ。ここはクルマが通らない駅であるがゆえにタクシーの無線配車も多い。しかし殆どは歩いての行ける距離のメダカの稚魚的仕事ばかりであり その仕事中、車内で銀座や新橋の大物無線を聞いていると「俺は北池袋で一体何をしているのだ。」と寂しい気持ちになることがある。

日付が変わり午前1時、ひと昔前なら駅は終電で客で溢れていたが今は逆に空車が溢れる時代である。
私はいつもNHKラジオ深夜便を聞きながら客を待っている。
午前2時を過ぎると池袋は無人島になるので歌舞伎町で最後の客を求めに行く。

営業所に帰ると納金、洗車をして仕事が終わるが「今日いくらやった?」と聞いて歩く同僚はタクシー業界では何処にでも居て数字の話ししかしない。
私は洗車を済ませたらトットと帰る主義である。と言うかそんな元気が無い。



タクシー用語

水揚げ
一日の売る上げのこと。タクシーは何故か漁業の用語を用いる事が多い。大物を釣る。入れ食い。等等・・・。

3コロ

一乗務の売上が3万円台という意味。通常4万円以上というのが常識なので「今日は駄目だった。」ということを強調する言葉。(例)「今日は客がいなくてサンザンだったよ。今日も3コロだよ。」 最近は不況で3コロは当たり前の時代になっている。

エントツ
メーターを使わず営業行為を行い客と料金の交渉を行うこと。勿論、不正行為である。私も客から「運転手さん、○○まで○○円でエントツしてくれない?」と誘惑されたことがある。

青タン
午後11時から午前5時の深夜料金のこと。その間、割増という青い表示になることからそう呼ばれている。

あしきり

一種のノルマみたいなもので一定金額以上の売上が無いと歩合が付かず極端に給料が下がるという基準ライン。タクシー会社によってあしきり額は異なるが
 因みに我が社のあしきり額は月48万円である。

3・3出番
3出番でて1日または2日休むという出勤シフト。日曜は必ず休みという特性がある。

2・2出番
2出番出て1日休むという出勤シフト。曜日という観念が無くなる。

ナイト

日勤者のことで毎日夕方から翌朝まで乗務する出勤シフト。通常は ほぼ一日中乗務して一日休むがこのシフトは毎日出っぱなしなので 寝ているかタクシーに乗っているかの人生となる。しかし多くの日勤者はタクシーが生き甲斐であって疲れを知らない子供のようだ。プライベートでもタクシーの話ししかしない。寝ても覚めてもタクシーのことを考えていてタクシー中毒に罹っている。(偏見ではあるが事実そういう人が多い。)
通常一台を二人の乗務員で回せるが ナイトは一人一台になるため会社側も よほど売上ができないとナイトはさせてくれない。因みに月収50万円以上の乗務員も珍しくない世界だ。

シニア
60歳で定年を迎えた乗務員で準社員にあたる。通常月12出番なのに対し シニアは月8出番である。

ぶっこみ
目標売上に僅かに届かず自らメーターを入れて空で走り自分で料金を払い目標売上を達成すること。
歩合によってはそうした方が得になることがある。

ロング

オバケともいう。遠方に行く長距離の仕事をいう。通常、遠距離割引となる9000円以上の仕事を指す。

近セン
「きんせん」と発音する。タクシーを管理する「東京タクシーセンター」のことをいう。最近まで東京タクシー近代化センターと言われていた。略して「近セン」という訳だ。
タクシーの苦情や取締りも扱っていてタクシー乗務員にとっては厄介な存在ともいえる。


個人タクシーについて
個人タクシー。これ程自由な職業は他にあるだろうか?好きな日、好きな時間に仕事ができるのでプライベートの時間は完全に自由になる。
また仕事中、何処へ行こうが何処で寝ようが自由で上司も部下も無く クルマも自分の物なので何の気兼ねも無い。収入も稼ぎたい分だけ自由に稼げ定年も無く社会に縛られる事が極めて少ない。
孤独で自由を求める私には合っているのかも知れない。自分の活動も自由にできるだろうし選択肢のひとつと考えれはいる。



東京の地名の由来


千代田区

中央区

港区

新宿区

文京区

台東区

墨田区

江東区

品川区

目黒区

油面

蛇崩
地元に住む人の話では、大雨が降ると蛇崩川の土手が崩れ蛇が出たという由来らしい。

大田区

世田谷区

上馬・下馬

三軒茶屋

渋谷区

中野区

杉並区

豊島区

ビックリガード
地元の人でも由来が分からないが、このガードは珍しく中には交差点と信号があり知らないで飛ばして行くとビックリすることから注意をうながす意味で命名されたという説が有力。


北区

荒川区

板橋区

練馬区

足立区

葛飾区

江戸川区



タイのタクシー

種類 コメント 料金
メータータクシー 日本のタクシーと殆ど同じで分かり易い。バンコクでは最も一般的なタクシー。 初乗り2キロまで35バース(約105円)。以後1キロごとに5バース。時速6キロ以下になると1分につき1.25バース加算。
交渉タクシー 最近は殆ど見ない。 メーターが無く、文字通り料金は交渉制。
ツゥクツゥク バンコクを象徴する乗り物で外国人には大人気。
しかし、ドアも無く、かなり危険である。またエアコンも無いので渋滞にはまると暑い。
交渉制だが、外国人には高くする傾向がある。
オートバイタクシー 運転手はオレンジ色のベストを着ている。
バンコクは地下鉄が開通し始めたとはいえ、相変わらず渋滞が多い。そこで活躍するのが渋滞をすり抜けるオートバイタクシー。
急いでいる客には良いが、危険も多い。
交渉制
自転車タクシー バンコクではなく、のどかな地方都市で見かける。 交渉制


世界のバックパッカーの集う街、カオサンを走るメータータクシー。


チャオプラヤーの船着場で客待ちをするツゥクツゥク。


客待ちをするオートバイタクシー。オレンジ色のベストが目印。